短編でも連載でも、キャラクター設定と世界観が練られていなければ、ストーリーの背景が見えて来ず、浅い物語になってしまいがちです。

主人公などの主要キャラクターは設定が練りやすいですが、モブキャラなどの脇役の設定はおろそかになりがちです。

モブキャラクターは主要キャラクターほど綿密に考えることはありませんが、どのような境遇なのか、そのキャラクターを見て世界観が見えるようにすれば説明がある程度省けます。

例えば服。服装はその時代や世界観を如実に反映します。豊かな世界だったら少しゴージャスに、貧しい世界だったら簡素だったりほつれたボロボロの服だったり。これだけでどんな世界に住んでいるか背景が想像できますよね。

また、同じ設定のキャラクターでも、世界観が古代、中世、現代、近未来、未来で考え方やセリフが違ってきます。異世界などでもそうです。

例えば、「破天荒で常識知らずの熱血漢」は、その時代背景の常識から外れていることになり、現代では常識とされていることが、昔や未来では非常識、または破天荒だと見られることもあります。

キャラクターの設定はあくまで客観的に見たものになります。そのキャラクターをどう動かすかで、キャラクター本来の持ち味が出て来るのです。

世界観はキャラクターの思想や理念に反映されます。その世界観をぶち壊すか、世界観に従って立ち回るのか、全く違った作品になりますよね。

どちらが良い、というのはありませんが、自分の描きやすいキャラクターを行動させれば良いのです。世界観をぶち壊す主人公ならそれにツッコミを入れるキャラクターを作れますし、世界観の中で立ち回るのならそれに賛同、共感するキャラクターを作れます。

そして、どうしてそういう行動をするのか、という観点からキャラクター設定が構築されることもあります。設定ありきで描くか、ストーリーに沿って設定を作るかの違いですね。

もし世界観やキャラクター設定に行き詰ったら、実際の人物をモデルにしてみてもいいでしょう。そっくりそのままではマズイので、特徴を誇張したり、外見だけ似せるなど、設定には工夫をしてみましょう。

とにもかくにも『設定』は練り込みが必要ですが、最初は簡素なプロフィールだけでも構いません。そこから想像を膨らませて細部まで練り込んでいくのです。

ネームや完成原稿を読み返してみて、何だか物足りないなあ、薄っぺらいなあ、と思ったら、それは設定の練り込みが足りないということ。

描き直しは大変ですが、やはり自分の納得する漫画を描き上げたいですよね。そんな時は思い切って描き直してください。自分を納得させることができない作品は、他人を惹きつけることはできません。

完成原稿を描き直す羽目になる前に、プロットやネームの段階で推敲してみましょう。きっと改善の余地が出て来るはずです。そして改めて設定を練り直し、ぜひ素晴らしい作品に仕上げてください。

設定練り直しも大変な作業ですが、必要な作業なのです。