ネームが仕上がったら、次はいよいよ原稿に下描きです。ペン入れを考慮して、表情や動き、構図を描き上げていきましょう。

描く時はできるだけ薄く、枠線を引いたら左上のコマから描いていきましょう。ほとんどの漫画は、読むときは右上のコマからになりますが、描く時は下描き線を手で擦らないよう左上から描くのが鉄則です。手の皮脂がつかないように指先だけ切り取った軍手をはめる人もいます。

薄く描くのは消しゴムで下絵を消すときに消えやすいように、それとペン入れの時に下描き線のデコボコに引っかからないようにです。筆圧が強い人は注意してください。

あくまで下描きですので、ペン入れのガイドラインぐらいに思ってください。下描きに綺麗に沿って描くと、思っていた線や位置と違ったということになりかねないからです。

ネームより丁寧に、ペン入れよりラフに描くといいでしょう。余計な線は消してください。ペン入れの時にどの線が正解か混乱します。

また、あまりにも下描きを丁寧に描きすぎると、これをもう一回描くのか…とうんざりするかもしれません。下描きで満足してしまうからです。ペンで仕上がるように意識して描く方が、作業スピードも速くなります。

あとは、ベタ塗りする箇所に小さく×を描いたり、トーンを貼るところにトーン番号を指定すれば下描きは完成です。

ここまでは鉛筆で描いているので、まだいくらでも修正がききます。下描きの時点で構図や表情が上手く描けていないと思ったら消しゴムで消せばいいのですから。

その時に消しゴムを乱暴にかけてはいけません。一定方向にゆっくりと、または優しく消しゴムを動かしてください。そうすることで、原稿の表面のケバ立ちを抑えることができます。ペン入れした後に消す時も同じです。

繰り返し修正するなら、いっそ一枚丸々新しい原稿に描き直した方がいいかもしれません。注意して薄く描いていても、繰り返し描いたり消したりしたことで表面に凹凸ができてペン入れに支障をきたします。

デジタルで描く人は消しゴムのことや紙の凸凹を気にせず描けるというメリットがあります。ただ、何度も描き直せるゆえに下描きからペン入れに進めなくなることがあります。

ある程度下描きでアタリをつけたら、本描きで線を修正するようにペンを入れていくというようにすれば、納得いく線を見つけられるでしょう。

下描きの時はアナログもデジタルもですが、水色の鉛筆(デジタルの場合はペンツール描画色薄い青)で描く方法もあります。

原稿用紙を見ればわかりますが、断ち切り線などが薄い水色で描かれていますよね。水色は印刷に出ないので、ガイドラインとして引けるのです。

色鉛筆は普通の鉛筆と比べて芯が柔らかいので、ペン入れで引っかからないというメリットがあります。デメリットとしては、ペンのインクを弾きやすいという点でしょうか。あまり濃く書かずに薄く線を引けば大丈夫です。

これを利用して、背景は水色鉛筆、人物などは普通の鉛筆、と描き分けることもできます。

デジタルの人は奥行きを考慮して色を変えて人物、背景、その奥、と描き分けができます。