世の親御さんたちが1度は言ったことがある言葉は「漫画ばっかり読んで!」ではないでしょうか。確かに漫画ばかり読んでいると勉学がおろそかになるのは否めません。酷くなると小説のような字だけの本が読めなくなることも…。

ですが漫画は面白いですし、時には人生訓を教えてくれることもあり、決して漫画だけを読むのが悪いわけではありません。これは世の親御さんに声を大にして言いたいところです。

しかし、漫画だけを読んでも漫画家になれるわけではありません。むしろ小説など絵のない活字の本を読むほうが、想像力を鍛えることができます。

本を読む時、その文章から自分だけのキャラクターが生まれます。小説がアニメになったり実写化されたりしたとき、イメージと違う!と思うことはありませんか?それが想像力です。

活字の本ほど具体的なイメージを自分で生成しやすいものはありません。挿絵付きでも、自分の想像とこんな風にイメージが違うのか、と比較出来ていいですね。

また、写真集を読むのも勉強になります。それを参考に背景を描いたり、頭の中で背景がイメージしやすくなるからです。漫画家になるとそんなにしょっちゅう取材旅行には行けないわけですから、写真というのは手軽で貴重な資料になります。

極端な例になると他人の漫画に影響されないようにあえて漫画を読まないという人もいます。そういう人は、漫画でない本を読んでいたり、コアな趣味を持っていたりします。

漫画から離れていることで独創性が生み出される、というわけですね。

このように様々なジャンルの本、または漫画以外の趣味などに目を向けることも大事です。漫画家を目指すなら、ある程度の知識は必要だからです。そうでないと、生半可な知識だけではストーリーを練ることが難しくなります。

また、漫画だけに影響された作品は、どこかツギハギな印象を受けます。過去に読んだ漫画の良いとこ取りといいますか、この部分はどの漫画家に影響を受けているとか、影響を受けているだけならまだマシで、似すぎていてパクリだ、と読者に誤解されかねません。

読者は「新しくて面白い作品」に貪欲です。そこに「どこかで見たことある漫画」が割り込む余地はありません。もちろん、既存の作品より面白く描けたら良いのですが、なかなかそう上手くはいきません。

知識は浅く広く、もしくは狭く深く、持ち合わせている信念、信条、伝えたいこと、人生経験がモノを言う世界です。浅く狭い知識や経験で傑作が描けるほど漫画は甘くはありません。

全てのものを自分の中に落とし込み、発酵、熟成させ、初めて奥の深い作品が仕上がる、と私は思っています。

ですから、漫画だけにとらわれず、色々な経験をしましょう。色んな本を読み漁り、自分なりの解釈をしてください。

それが作者が意図しないことでも、想像を膨らませてより面白く、もしくはその逆の読み方をしてもいいでしょう。

一つ、漫画について有意義な読み方があります。それはセリフなどで分からない単語が出てきたらすぐに調べることです。勉強にもなりますし、そこから世界観の元になった史実や寓話などを知ることもできます。

そこからまた知識が広がり、さらに知的探求心、好奇心が刺激されて他の物事や漫画以外の作品に興味が出てきたらこっちのものです。