漫画が完成した時、ものすごい達成感があります。アナログでもデジタルでも1ページ描くのに膨大な工程を経ているので、綺麗に描けたときの感動はひとしおです。

しかし、それは達成感フィルターがかかっているので、本当に綺麗に描けたのか、おかしなところはないか、自分ではなかなか気付きにくいものです。

出来上がった原稿は少し寝かせて、後から読み返してみましょう。最初は完璧だ!と思っていた原稿のアラやベタの塗り忘れ、トーンの圧着不足など、いろいろな問題点に気が付きやすくなります。

もしかすると、漫画のストーリー自体の問題点も見えてくるかもしれません。いち読者に戻って自分の漫画を見返してみると、気が付かなかったことがいろいろと見えてきます。

初めて漫画を完成させた人は、ペンに慣れていなくてガタガタの線になっているでしょう。何回か描きなれた人も、背景が上手くできていないとか、ストーリーが分かりづらいなどあるでしょう。

他の人が見たらもっとひどい点があるかもしれません。しかしその改善点を見つけるのも漫画を描く上での大事な工程の一つです。

描いてみてわかることは、「プロの漫画家ってなんてすごいんだ!」ということです。人間製図機だと言っても過言ではありません。それほど緻密で繊細な作業なのです。

プロのスマートな絵に比べると、デビュー前のアマチュアは自分の絵が恥ずかしくなるほど稚拙に思えてくるかもしれません。しかし、皆最初はそうだったのです。それを乗り越えて段々腕を上げて、今の絵柄があるのです。

ここで早々に諦めてしまうか、日々漫画の上達に取り組むかで将来が大きく違ってきます。

さらにぶっちゃけて言えば、漫画は面白いか面白くないかに分かれます。絵が少々マズくてもストーリーが面白ければいいのです。絵の腕は磨くことができます。

絵が上手くてもストーリーがマズければ、原作者をつければ面白い漫画が描けます。最初から共同制作でデビューする漫画家と原作者もいます。

どうしても漫画家になりたい!と思うならば、絵とペン入れの練習、そして面白いストーリーを練ることです。そして、他の誰にも書けない、あなただけの漫画を完成させることが最重要課題になってきます。

とにかくガツガツと漫画にどん欲になることが、漫画家になるための必須条件と言えます。絵が描きたい、面白い漫画を描きたい、漫画を通して何かを伝えたい、そのモチベーションを保つには努力だけでなく、目に見える成果が必要です。

そのためには、「誰かに漫画を読んでもらう」ことが一番です。家族や友人など、身近な人に読んでもらうもよし、投稿して編集者に読んでもらうもよし。誰かの批評がないと自己満足の世界で完結してしまいます。

初めは恥ずかしいかもしれません。勇気がいるかもしれません。ただその第一歩が絶対に必要なのです。

内にこもって描き上げた漫画を、今度は外の世界へ持って飛び出しましょう。きっと世界が開けるはずです。