漫画家とは基本家に籠りきりの作業が大部分を占めます。ストーリーや構成のほとんどを自分の頭の中で組み立て、それを紙上、もしくはパソコンに出力していくのです。
そう考えると、漫画家とは孤独な仕事ですね。
しかし、人間の想像力には限界があります。ずっと一人で仕事をしていると、いわゆる「ネタ切れ」を起こすのです。
ファンタジーなどの空想の世界ならまだ自分の好きにできますが、現実世界を取り入れたものや、ギャグ漫画になるとネタに詰まって筆が進まなくなることはよくあります。
そんな時こそ、「取材」の名目で外の世界へ飛び出してみましょう。気分転換にもなりますし、新たなネタが見つかるかもしれません。
「取材」は散歩から旅行まで幅広い外の世界が開けています。公園のベンチに座ってボーっとするのもよし、散歩で体を動かして脳の活性化をはかったり日頃の運動不足を解消させるのもよし、思い切って海外旅行に行って異文化に触れるのもよしです。
そういった何気ない日常から非日常の世界に触れることで、ネタや創作意欲が湧くことがあります。漫画家にも休養が必要なのです。
しかしあくまで「取材」なので、メモ帳と鉛筆はいつも持ち歩いておきましょう。思わぬところで日常のおかしみからのネタや、いい構図が思いつくことがあるからです。
デジカメを持っていくのもいいですね。例えば夕暮れ時の良い風景を構図の参考にしたいとき、野外でスポーツをする人を取り入れたいときなどデジカメが活躍します。
海外に行ったら街並みを撮影して、背景の参考にもなりますね。ちなみに実在する街をそのまま舞台にしている漫画もあります。人気が出ると「聖地巡礼」と言ってその街を訪れるファンが出てきます。
「聖地巡礼」はその街に経済効果をもたらしますが、トラブルも一緒にもたらします。ファンならマナーやモラルを守り、聖地を汚さないようにしたいものです。
話題が逸れましたが、漫画家にとって外の世界とはネタの宝庫なのです。普通の人なら見逃すことや忘れてしまう出来事も、漫画家の観察眼なら拾ってネタに精製することができます。
そう、漫画家には「観察する力」が必要なのです。ある漫画家は猫が嫌いと公言していますが、作品に出てくる猫はかわいらしさや憎らしさすべてがよく描かれています。
これは観察していないと分からないことです。嫌いなものまでネタにしてしまう観察眼には敬意の念を抱きます。
このように清濁併せてネタにしていくのが漫画の物語に深みを与え、やがて面白い漫画へと昇華するのです。
外の世界はネタの宝庫と言っても過言ではありません。楽しんだり癒されたりする間にも、ずっと漫画のことを考えなくてはいけないのがツライところではありますが、漫画を描くには必要なことです。
一人で出かけてみたり、友人と一緒に遊びに行ったり、短時間でもいいのです。たまには自分の殻から出て、ネタを探してみましょう。きっと収穫があるはずです。