漫画家は一部で「ジャパニーズドリーム(印税)」と呼ばれるほど、ヒット作を生み出せばたちまち生活が一変します。環境的にも経済的にも、今までとは全く違うグレードのものが手に入るのです。

しかし、初めからヒット作に恵まれる作家は一握りで、あとは鳴かず飛ばずだったり、そもそも漫画家というステージに立てない人の方が多く、だからこそ一発逆転のイメージが強いのですが、実際はそうではありません。

実は漫画家は、デビューする前も後も、絶え間ない努力が必要なのです。

コツコツ絵を描き漫画を完成させ、何度もトライアンドエラーを繰り返しながら、自分も編集者も、そして読者も納得する作品が出来上がるのです。

それはデビューと同時かもしれませんし、何年も何十年も先かもしれません。その時代のニーズにマッチした作品か、斬新で突き抜けた内容でないと人気が出ません。

そのためには、色々な知識を蓄え、新しいものにも目を向け、さらに漫画の技術も磨き続けなければなりません。それはデビュー後にも漫画家である限りずっとついて回るものです。

1度ヒットしたからと言って、そこで成長を止めてしまえば、次の作品はなかなかアイディアが浮かびませんし、長寿作品でもいつかは終わりがきます。

もし「漫画家になれば好きな絵を描いて暮らせる」「ヒット作を1本作ればあとは左うちわ」と思っているなら、早急に考えを改めてください。そんな甘い世界ではありません。

どの漫画家も、生みの苦しみを経て漫画を描いています。「もういやだ」で辞められるものではありません。常に漫画のことを考え続け、それを形にしていかなければならないのです。

編集者にダメ出しをくらい、締め切りに追われ、読者にも叩かれ、それでも漫画を描き続けるという、過酷で孤独な仕事なのです。

ですが、ほとんどの漫画家や漫画家を目指す人は、それを上回る漫画への情熱や信念をもっています。だからこそ漫画を描き続けられるのです。

良い作品をより良く、面白い作品をより面白く。自分の才能をフル回転させ、持っている技術を全力でぶつける仕事です。やりがいや達成感はとても大きいでしょう。

だから漫画家を目指す人は絶えませんし、面白い作品を読者は待ち続けています。もしそれがなくなるとしたら、世界が漫画に興味を失った時でしょう。

しかしそんな世の中が来るとは思えません。人間は太古の昔から絵を描き、絵の技法を発展させ続けてきました。この世から紙やデジタル技術がなくなっても、原点回帰で壁画を描いていることでしょう。

そう考えると、洞窟に描かれた壁画は何千年も愛されているヒット作と言えますね。歴史的価値もありますが、どんな暮らしぶりだったのか、そこから想像できることがたくさんあります。

漫画家全員がヒット作を生み出せるわけではありませんが、漫画家になったからにはやはり売れっ子になりたい、好きな作品が描きたいものですよね。

心折れずに漫画を描き続け、アイディアを膨らませ、是非ヒット作を生み出しましょう。