ここまで色々と漫画の厳しさを書いてきましたが、漫画家には1つ良いところがあります。

それは「何歳になっても漫画家デビューができる」という点です。

漫画家になる人の大半は、10代後半~20代前半の若い人だったりします。それは漫画に時間が割ける学生であり、いろいろな吸収が早いからです。

また、少年・少女漫画を読んでいるのは当たり前ですが10代の若い読者層です。それに共感させられる感性があるから若い人がデビューしやすい、とも言われています。

しかし、歳を重ねなければ分からないことや、体得できない技術もあります。趣味で漫画を描いていた人が30を過ぎてデビューすることもありますし、40歳で漫画家になった人もいます。

歳を取ってから漫画家になれる人の割合は少ないかもしれませんが、確実にいるのです。むしろ歳を重ねた分、ストーリーに深みが生まれるかもしれません。

現に、遅くデビューしたりブレイクした漫画家の作品は、とにかく内容が濃いです。絵のレベルなど気にならないほどに、というか絵そのものも作品の味として読めます。

でも今デビューしたいんだ!という人もいるでしょう。しかし経験も深みも足りないから漫画家デビューが難しいのです。厳しい言葉になりますが、薄っぺらい漫画しか描けていない、ということになります。

いくつになっても漫画へのモチベーションが衰えない人が漫画家になれるのです。それだけ情熱があるとも言い換えられます。

仮に今漫画家になれたとしても、鳴かず飛ばずの時期が長くなってしまうかもしれません。実際にそういう漫画家は多いのです。誌面デビューを果たしても、人気がなければ打ち切りですし、次回作もなかなか出せずに終わってしまう人もいます。

それを考えると、満を持して漫画家デビューするのがある意味賢い選択と言えるかもしれません。

元々絵が上手くなくても、絵の勉強を重ねていくうちに自分の絵柄というものに辿り着く可能性もあります。味のある絵柄は漫画家にとって強味でもありますから。

また先程も書いたように、ストーリーの深みや展開も変わってくるかもしれません。若い人のストーリー展開が速いとしたら、円熟したストーリーを描けるのが遅咲きの利点です。

若い頃の夢を、第二の人生でかなえようとする人もいるでしょう。退職後はいくらでも時間が有り余っているので、デッサン教室に通う、本を読むなど、貪欲に知識を蓄えることができます。

さらに土台に「人生経験の厚み」があるので、レベルの高い漫画を描けるかもしれません。大事なのは、何をどう描くのか、ということです。

「諦めたらそこで試合終了」という某スポーツ漫画の名言があります。そう、諦めたらどんなに才能があろうが若かろうが、そこで終わりなのです。

夢はいつか諦めなければなりませんが、希望を持ち続けることはできます。それを実現させるためには、努力が必要です。今はデビューできないが、いつかは日の目を見るぞという覚悟で臨んでください。