スクリーントーンはとても便利な道具です。白黒の世界に仮初めの色彩を与えます。髪が赤いキャラクターなら網点(あみてん)と呼ばれるスクリーントーンを貼ることで赤い髪を表現できます。
その他影の部分に使ったり、洋服の柄に使ったりと、貼ろうと思えばいくらでも貼れます。
逆に、スクリーントーンを最低限しか使わないことで表現できる世界観もあります。ベタや斜線を利用して、荒廃した世界や殺伐とした雰囲気を出せるのです。
スクリーントーンを使うときに注意したいのが、「ホコリ」「空気」「剥がれ」です。どれか一つでもあれば、せっかくの原稿が汚く見えます。
また、スクリーントーンの方向にも注意しましょう。スクリーントーンは1枚500円~1000円くらいする高価なものです。ケチって使うと、スクリーントーンの柄の方向がちぐはぐになってしまいます。
貼るときは同一方向に。余った部分も小さい場所や影などに使うと経済的です。
圧着するときは、専用の棒か先の尖っていない丸みのある棒、爪などを使ってこするように貼ります。気を付けたいのが、スクリーントーンに直接棒を当てないことです。印刷されているスクリーントーン部分が削れてしまうことがあるからです。
しっかりと圧着するときは、薄い紙か、スクリーントーンの台紙の上からゴシゴシ圧着させていきます。
スクリーントーンを削って効果線や雲を表現する時もあります。元々効果線や雲の模様が印刷されているスクリーントーンもありますが、自分でするときはカッターの先や、砂消しゴムという固い消しゴムで表面を少しずつ削っていきます。
あまり力を入れすぎるとスクリーントーンを貫通して原稿を削ってしまうので、軽く力を入れる程度で削っていってください。
デジタルでは、スクリーントーンのパターンが最初から揃っているソフトがあります。スクリーントーンをカッターで切ったり、圧着させる作業が省けますので、どんな細かい場所にも使いたい放題です。
それゆえ、デジタル派の人はスクリーントーンを多用する傾向にあります。多用が悪いというわけではありませんが、必要以上に使うとコマの中がゴチャゴチャして見づらくなります。
特に気をつけたいのが、スクリーントーンが重なり合ったときにできる「モアレ」という現象です。モアレで効果を狙っているなら良いのですが、デジタルもアナログも思わぬところでスクリーントーンが重なり、モアレが起こっていることがあります。
その場合は、スクリーントーンが重ならないように切るしかありません。
あと、スクリーントーンはなるべく隣接して貼らない方が無難です。スクリーントーンだらけだと目がチカチカします。細かい点の集合ですから、見ている読者の目が疲れてしまいます。
スクリーントーンは必要最低限に、ベタ塗りでもOKだったりペンで斜線を描いてスクリーントーンをなるべく使わないようにすると、視覚的にも経済的にも優しい画面になりますよ。