たまにキャラクターの顔の見分けのつかない漫画がありますよね。俗に言う「ハンコ絵」です。髪形を交換するだけで同じキャラになってしまうというものもあります。

ハンコ絵が悪いわけではありません。漫画を描く効率が上がりますし、キャラクターの描き分けは髪形やセリフでもできます。

しかしハンコ絵でない方が読者からは好まれます。そりゃそうですよね、主人公と脇役が同じ顔だと主人公の魅力も半減してしまいます。何より誰が誰だか見分けがつかなくなりやすいのです。

顔というのはその人物の性格が出ます。キャラクター設定がきちんと決まっていれば、優しそうな顔、怖そうな顔、ファニーフェイスなど、違った顔が描けるはずです。

それから顔のパーツ。一番分かりやすいのは目の描き分けです。目が違うだけでこれが誰であるか分かります。現実でも、目の形や色は人によって違いますよね。

それから鼻の形。鼻筋が通っている人、丸い鼻の人、色々います。口の形だって、おちょぼ口、口が大きい、唇が厚い薄い…。少し考えるだけで相違点が色々浮かびます。

その相違点を組み合わせると、無数の顔が出来上がるわけです。

まるでモンタージュのようですが、それプラスキャラクターの性格、髪型、顔の輪郭などでさらに描き分けができるはずです。

この顔のバリエーションが豊富なほど、長期連載になった時に役に立ってきます。長期連載となると、キャラクターの数も膨大になりがちです。それこそ主要キャラからモブキャラまで様々な顔を描くことになるでしょう。

短編や読み切り漫画でも、誰が誰だか分からないものを描くより、個性的で魅力的なキャラクターを出した方が面白くなりますよね。出せる人数が限られてくるので、自然と皆アクの強いキャラクターになります。

アクが強いので顔の描き分けもスムーズにいくと思います。それぞれ顔に性格が反映しやすくなるからです。

勇敢な主人公と、気弱な相棒、ヒロインの美少女…。どんなストーリーにするかでも、それぞれの顔つきがガラリと変わるでしょう。

キャラクターの顔は作品の看板であり入り口でもあります。その看板が魅力的で、入り口も入りやすい、親しみやすいならば多くの人が作品に興味を持ち、読んでくれます。

そういえばあの作品もこの作品も…と思い当たる作品がありませんか?それはやはりキャラクターが興味を惹きつけたのだと思います。

キャラクターの描き分けに定評があるのは「BLEACH」などで有名な久保帯人先生です。久保先生の作品を読むと、顔や造形が被っているキャラクターがほとんどいません。それでいてそれぞれが主役になれそうなほど魅力的なキャラクターばかりです。

キャラクターの描き分けができないで悩む人は、キャラクターの描き分けができている漫画家の作品を研究してみましょう。何かヒントが見つかるかもしれません。

また、同じように見えてもちゃんと描き分けができている作品もあります。模写してみると、ここが微妙に違うんだ!と発見があるかもしれません。