背景や効果線が得意な人は、ぜひプロのアシスタントを経験しましょう。勉強になるのはもちろん、プロの生原稿を実際に見ることができます。そして何より、作品に携われることがアシスタントの特権でしょう。

アシスタントになるためには、雑誌でのアシスタント募集に応募するか、背景や効果線などの技量を見てもらうためにアシスタント希望として編集部に送付する方法があります。一緒に働く人なので、漫画家によっては面接もあるかもしれません。

もし漫画未経験でも、やることはたくさんあります。消しゴムかけ、ベタ塗り、枠線引きなど…。お茶出しや買い出しにも駆り出されるかもしれません。ご飯をつくる「メシスタント」というのもあります。

アシスタントの良い所は、何と言ってもプロの描いた原稿を間近で見れることが最大の恩恵です。原画は編集者かアシスタントになるか、個展などで美術館に飾られない限り、そうそう見れるものではありません。

また、当たり前ですが漫画の修行にもなります。フラッシュなどの効果線が甘ければやりなおしと言われますし、背景もうちょっと緻密に描いてなど、先生からのダメ出しで成長することがあります。

さらにアシスタントの人数が多ければ、切磋琢磨しあえる仲間もできやすい環境でもあります。休憩時間に漫画について話したり、関係ないことで笑いあったりと、一人で黙々と漫画を描くだけとは違って息抜きもできます。

好きな漫画家のアシスタントになれるのが一番ですが、人員が足りていたりすると募集すらかかりませんし、編集部もアシスタントが足りない漫画家に割り振る可能性があります。

持ち込みしている人は、直接編集者とアシスタント志望であること、好きな漫画家の先生の下で働きたいことを伝えておくと、いつか縁が回ってくる…かもしれません。こればかりは運です。

ただ、希望の漫画家のアシスタントでなくても、充分に得られるものはあります。面倒見の良い先生ならば、アシスタントが漫画家デビューするのを後押ししてくれることもあります。

アシスタントの仕事がこなせれば、もし漫画家デビューした時に一人で作業をこなせるので、新人でアシスタントがついていない時は少し楽かもしれません。

唯一デメリットを挙げるとしたら、先生の絵柄や世界観に強い影響を受けてしまうことでしょうか。良いことのようにも思えますが、自分のカラーに戻すのが困難になってしまいます。

この先生とあの先生の絵柄似てるな・・・と思ったら、後にデビューした先生は先にデビューした先生のアシスタントだった、ということがよくあります。

それを避けるために、フリーのアシスタントをするという道もあります。一人の先生のアシスタントではなく、色々な先生につくことができます。

専属のアシスタントと違って給料は割安になりがちですが、いろいろな先生の原稿に触れられるメリットがあります。

漫画武者修行の旅のようで、フリーというのは魅力的ですが、それに見合った漫画技術を持っていないと生活が安定しないというデメリットもあります。