自分は漫画家としてセンスがないのではないだろうか?何度も賞に応募しても落選する、持ち込んでも酷評ばかり、アシスタントにもなれず、ネットに上げた漫画にはコメントすらつかない…そんなことがあれば、誰でも落ち込んでしまうものです。

あきらめずにいれば願いは叶う、とよく言いますが、あれは願いを叶えた人が言うことで、まだ叶えられていない人が言っても説得力がありません。

時には「諦める」決断も必要です。漫画は読むのも描くのも好きだけど、壊滅的にセンスがない、という人も中にはいます。

ましてや、何十倍何百倍の倍率をくぐり抜けてデビューする漫画家です。99%の努力と1%のセンスがなければ、100%努力しても漫画家になるのは難しいでしょう。

アシスタントを長年している人も、自分には漫画家向いてないのかも…と悩む人もいます。アシスタントができる技量ならば漫画家になるのも難しくないのでは?と思うかもしれませんが、ストーリーが練れなかったり、作画が安定していない人はたくさんいます。

もちろん、アシスタントを経て漫画家になる人もいます。が、売れなければ貧乏生活の始まりです。バイトや正社員と掛け持ちで漫画を描いている人もいます。つまり漫画だけに専念できないのです。

そのうち生活のために働くことが増え、漫画が描けないまま年月が過ぎていく…なんてことはザラです。寝る間を惜しんで漫画を描くことはできますが、それでは明日の仕事に響く、とにかく疲れたから眠りたい、という欲求の方が勝ってしまうかもしれません。

漫画家に必要な資質の1つは、とにかく漫画が好き、漫画を描き続けたい、と思えるかどうかにかかっていると思います。漫画家になったら嫌でも描き続けなければならないのですから。

何かの片手間に漫画を描くことは難しいのかもしれません。むしろ漫画が生活の大半を占めていないと、腕も鈍ります。仕事のことと漫画のことを同時に考えるのは至難の業です。

ですが、仕事をしながら漫画家を目指していてデビューした先生もいますし、今現在も漫画家を目指しながら別業種で働いている人もいます。難しいけど、やれないことはないのです。

要するに、漫画に集中できるかできないかの違いなのです。仕事で疲れて漫画を描く気力がない…なんてもってのほかなのです。

疲れてるけど寝る前に漫画を描く!という人でないと、漫画家デビューはおろか漫画の描き方も忘れてしまうのかもしれません。
何事もそうですが、トップレベルのプロほど練習に時間を費やしているそうです。プロというのは自分に厳しいのですね。

もしその厳しさがないのであれば、プロになれたとしてもやっていけないので、やはり諦めた方が自分のためでしょう。プロの世界はもっと厳しいのですから。

努力だけに頼ってもダメ、センスだけに頼ってもダメ。その二つが合わさってこその作品です。やっぱり無理だ、と思うなら、漫画は趣味にして仕事に集中した方がはるかに実りある人生を送れるでしょう。