かっこいいキャラクターやかわいいキャラクターが見られるのが漫画のいいところですが、漫画の魅力はそれだけではありません。

それはズバリ「名ゼリフ」!漫画を読んでいたら、心にグッとくるセリフやなるほどなあと考えさせられるセリフに出会いますよね。

かっこいいキャラクターがそんなセリフを言ったら、更にキャラクターに深みが出ます。逆に差しさわりのないことばかりをキャラクターが話していたら、せっかくの物語が薄っぺらいものになってしまいます。

このセリフというのは非常に大事で、時には名言として語り継がれるほど読者の心に残ります。

どのキャラクターにどんなセリフを言わせるか、漫画家の腕の見せ所とも言えます。

主なキャラクターに言わせるのは定石ですが、脇で目立たないキャラクターが急に重い言葉を言うのもドキっとします。

それぞれのキャラクターのバックボーンや主義などを考慮して、「言わせる」のではなく「このキャラクターだったらこう言うだろうな」と考えれば、自ずとセリフが浮かんでくるはずです。

言い回しや言葉を選ぶのも大事です。同じ意味でも言い回しによればとてもいいセリフになったりします。

逆に、誤植や素っ頓狂なセリフも時として迷セリフとしてウケることもあります。いつの間にかネットスラングとして広まったセリフもあります。ほとんどが漫画発祥のもので、漫画の影響はすごいのだなあと感心します。

そう深く考えなくても、漫画を描いていれば不思議と思い浮かんできます。それに、吹き出しの大きさの制限で、あまり長ったらしいセリフは書けないということもあります。

だから漫画のセリフは頭や心に飛び込んできやすい、いわば「言葉の結晶」と言っても過言ではないでしょう。

この言葉の結晶は、時に読者に衝撃を与えることがあります。それまでの生き方や思考、信念に大きな影響をもたらすのです。

言葉には言霊と言って、力が宿ることがあります。ましてや漫画に書かれているのは極限まで研ぎ澄まされた言葉。影響があって然りなのです。

気をつけたいのが、セリフが長々と説明口調になってしまうことです。ストーリーによっては解説せざるを得ないこともありますが、できれば絵の方で分かるようにしましょう。

人物に説明させるのは好ましくありません。吹き出しがものすごく幅を取ってしまい、一コマを吹き出しに占領されてしまうからです。

漫画なのに説明セリフが多くなってしまったら、小説のようになってしまいますよね。せっかくの漫画なのですから、説明は絵で、そしてシメは名ゼリフでカッコよく決めたいものです。

それでも言葉が思い浮かばない時がありますよね。クライマックスに相応しいセリフがどうしても思いつかない、グッとくるセリフを入れたいけど思いつかないなど。

そういう時は、原稿を最初から読み返してみましょう。作者である自分自身が、物語についていっていないので言葉が思いつかないのです。

そんな馬鹿な、と思うでしょうが、描くことに専念しているのでストーリーが頭に残っていない場合もあります。

ストーリーと設定の読み返しで、キャラクターが話す言葉も浮かんでくるはずです。