さて、漫画といえば「効果線」がつきものです。
例えば、どんよりした気分を表すのに縦線を使ったり、スピード感を出すた
めに横や斜めの線を抜いたり、人物や物を強調する時には集中線が描かれて
いますよね。
効果線がないと、薄っぺらく動きのない漫画になってしまいます。
直線の効果線は定規で、カーブのついた線は雲形定規で引きます。が、この
効果線はペン入れに慣れていないと、かすれてしまったりインクが付きすぎ
て太くなりすぎたりします。
特に雲形定規は注意して使わないと、インクがこすれて悲惨な目に遭います
。難しい時はミリペンを使って引いた方が無難です。
また、網掛けや点描など、今はスクリーントーンでできたりしますが、昔の
漫画家は全て手作業で描いていました。すごい技術ですよね。
下描きでは効果線は描写しないか、簡単な線を描いてペン入れでガッツリ描
く、というのが一般的です。
これを習得するには、やはり練習しかありません。実際、漫画家志望でアシ
スタントをやっている人は、仕事が終わってから網掛け線や、ペンの「抜き
」を練習して日々精進しています。
効果線はアシスタントが入れることが多いので、練習しないと仕事にならな
いというのもありますが、デビューした場合、最初からアシスタントがつく
わけではないので、一人でどれだけ素早く作業をこなせるかに掛かってきま
す。
全てはペンの技術がモノを言うのですね。
デジタルペン入れの場合、効果線がツールとして入っているものもあるのでこの問題はクリアできますが、最初はやはりつけペンで描いてみたいものです。上手く引けたときは感動しますよ。
肝心の効果線の引き方ですが、例えば1コマに入れるとします。枠線あたりからペン先に少し力を入れ(入り)、中心に向かってスッと引く(抜き)ような感じです。これを繰り返すと集中線が出来上がります。
集中線を描く場合、中心にアタリをつけます。鉛筆で×をつけたり、押しピンを刺してガイドにすることもあります。押しピンを抜いたあとはホワイトで穴を埋めます。
全ての効果線はこのような繰り返し作業になります。最初のうちは非常に気を遣う作業です。線がヨレたりかすれたり、定規にインクが染みだしたりして失敗もするでしょう。
ですが繰り返し描いているうちにコツが掴めます。そうなればこっちのものです。ドンドン漫画に動きが出て楽しくなってきます。それまでが苦労の連続ですが、いつかは上手く線が引けるようになります。
とにもかくにも、漫画というのは練習が必要な職業です。描けば描くほど上手くなる、成果が目に見えるので練習のし甲斐があります。
基本的な効果線が引けるようになったら、応用としてベタフラッシュ、ウニフラッシュなどがあります。これが描けるようになったら効果線はバッチリです。
また人物にも効果線(スピード線)を描くことがあります。例えば疾走しているシーンや、パンチを繰り出しているシーンなどですね。格闘漫画などでよく使われます。
効果線があるかないかでシーンの印象がかなり違ってきますので、ペンの入りと抜きはぜひ体得しておきましょう。